音楽

【音楽・ライブレポート】 Viento(ビエント)結成25周年リサイタル(2023.8.14) ~ 雨にも風にも時には嵐にも耐え25年 ~

 Viento(ビエント)の結成25周年リサイタル【結成25周年記念Viento Recital Collaboration!】が、8月14日 くまもと森都心プラザのホールにて開催

木々の壮大な自然をイメージさせるようなステージのセット、鬱蒼たる森の深くへ来たかのようなスモーク。観客をもてなすホールは、開演前から「Vientoの空間」が広がっていた。
14時30分。遠くから二人の足音と鈴の音が近づいてくる。まだ暗いステージに二人は姿を現した。ケーナ・吉川万里(敬称略、以下「万里さん」)が奏でる鳥の鳴き声がホールに響き渡り、コンサートは幕を上げた。第一部の始まりだ。
―『息吹』―

 Vientoのコンサートの醍醐味は演奏だけではない。万里さんが曲間で聴かせる語りが、これまた味わい深いのである。また作曲・編曲・シンセサイザーなどは竹口美紀(敬称略、以下「美紀さん」)が担当する。2人の世界が合わさって、自然の生命力を感じるエンターテインメントが完成するのだ。
2曲目は美紀さんが韓国に留学した経験をもとに作った曲。
―『青い海のクジラ』(下の写真)-

どのCDにも入っていない曲があると万里さんは言った。今は亡きある映像作家との出会いが関係しているという。「この曲だけは、映像のためだけに」と、CDにも収録せず大切にしてきた曲を、この日、映像作家に思いを馳せながら演奏した。
―『ゆうすげ』―

プログラムには記載されていなかったが演奏された曲があった。万里さんの奏でるオカリナの、まっすぐでまるみのある音は、25年間の出会いを思い返すような音色に聞こえた。
-『出会い』-

続けて、
―『プロローグ』-
―「農耕の唄」(下の写真)-
曲中に4人の少女たちが、太鼓や笛を鳴らしながら「神楽」を舞った。

第一部の最後を飾ったのは
―『断崖の翼』(下の写真)-
「断崖の巣穴」から飛び立った「大鳥」が悠然と空を飛ぶように、熊本地震などのさまざまな苦難を乗り越えながら、25年間羽ばたきつづけたVientoの偉大さを感じるものであった。
第二部は、和楽団「Japan Marvelous(ジャパンマーベラス)」によるパフォーマンス。太鼓や笛、声による迫力のある演奏を2曲披露した。なかでも大太鼓を使った演奏に、観客の目は釘付けになっていた。
VientoとJapan Marvelousは10月12日、福岡サンパレスホテル&ホールでコンサート『“生きんば!” ―I-KinBa!-』を開催する。この2組でのコンサート開催は初めてとのこと。このステージのために制作された楽曲も披露される。
第三部は「川は流れてどこどこ行くの」の
―『花』(下の写真)―
で始まった。よく知るフレーズに観客は体を揺らしながら聞いていた。

また、このコンサートではよく観客のこどもたちの声が聞こえてくる。話し声や笑い声、ときには泣き声も。そんなこどもたちの声を聞いて、万里さんは「ある人がこどもたちのことを“未来”と呼んだ」という話をした。そして会場のこどもたちに「頑張って育てよ」と言葉をかけたあと、この曲を披露した。
―『かがやくいのち』(下の写真)―

 つづいて少女たちのバレエとともに演奏した、
―『同じ空を見てる』(下の写真)-

そして「兎追いしかの山」でおなじみの
ー『ふるさと』(下の写真)-

 第三部最後は、
―『戦人絵巻』(下の写真)-
でプログラムの曲目が終了した。

その後「いつもは(アンコールを)やらないんだけど」と特別に披露したのは
―『コンドルは飛んでいく』(下の写真)-
25周年の節目を迎えたいま、次の1年へと大空を仰ぐVientoの姿が浮かんだ。

万里さんはVientoの25年間を振り返りながらこう話した。
「阿蘇の大地を舞台に雨の日も風の日も嵐でも、寒さや灼熱の暑さのなか、天を仰いで立ちつづけた」
それはまるで極寒の冬を耐えて、春になると天に向かって伸びる木の芽のように、力強い生命力を感じるものである。
25回の冬を越えてきたViento。「もういちど阿蘇の大地に立ちなおし、踏ん張り、天を仰いで、またいちからやっていきたい」と今後への思いを述べた。

龍田川
龍田川
今回は、梅ちゃんによるレポートでした。
梅ちゃん
梅ちゃん
いつもながらに、ビエントさんのステージ、素晴らしかったです!!

今回の写真は、全て江嵜靖治様が撮影されたもので、許可をいただいて使用させていただきました。