芸術文化

【芸術文化】ポールダンス×ボディーペイント×朗読のパフォーマンス【けんぶんセレクトステージ】に行ってきました(2024.6.12)~ Kenbun Select Stage in June ~

江津山
江津山
2024年6月12日(火)に、熊本市健軍文化ホールにて開催された、けんぶんセレクトステージに行ってきました。今回は第一弾、ポールダンスアーティストの宴車(うたげぐるま)さんのステージです。画家の水野祐介さん、朗読の木内里美さんも共演されました。 ポールダンス×ボディーペイント×朗読のパフォーマンスで「蜘蛛の糸」を題材とした演目を披露されました。

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ステージの真ん中にポールがあり、下手に宴車さんと黒鬼の姿をした水野さんが登場し、上手に朗読の木内さんが登場されました。
おどろおどろしい雰囲気の中、粛々と蜘蛛の糸の朗読が始まり、宴車さんはその場で身振り手振りや表情、ポージングなどで物語に合わせた表現をされていました。そこに連携して水野さんが宴車さんにボディペイントをしていきます。
宴車さんは、蜘蛛の糸の主人公、大泥棒で罪人のカンダタ(本来男性ですが、今回は女性として)を演じられていました。
木内さんの朗読は、1人何役もされており、役によって演技もそうですが、声色や雰囲気さえも一変させ別人が何人もいるかのようでした。木内さんの一声一声で場を掌握させるほどの演技力でした。
宴車さんは、ボディペイントをされいているため動き回ったり、激しい動きはないものの、カンダタとしての心情や情景を表情やその場での動きで見事に表現され、ペイントされている状況さえも演目の一部として溶け込ませていました。蜘蛛の糸を登ったり、落ちたり驚いたり、縛り首などの表現がとても印象的でした。
鬼の格好をした水野さんのペイントは宴車さんが動いている中、一切のブレもなく淡々と体に筆を走らせ、いつの間にか大作を作り上げていました。全身に豪華な美しい刺青が入っているかのようでした。

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一通り朗読とペイントが終わると、水野さん一人のアートパフォーマンスが始まりました。不吉な雰囲気の和の曲に合わせ、黒い大きな用紙に体全身を使って絵を描いていきます。鬼の姿で所々曲にノったり体を動かして絵を描いていく様はまるで「蜘蛛の糸」の地獄の世界で鬼が踊っているようでした。大きな山とその周りの風景を描いておられましたが、夕日か血の赤か、または火山にも見える真っ赤な山を描かれました。威圧感もあり、禍々しくも美しい作品がものの15分ほどで出来上がりました。

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その後音楽と朗読に合わせて本格的なポールダンスが始まりました。カンダタが地獄から極楽浄土に行くために蜘蛛の糸に見立てたポールに縋り登っていく様や、自分だけ助かろうとする我欲に満ちた狂気的な動きや、糸が切れた瞬間に本当に落ちていく姿は圧巻でした。落ちた後の地面に這いつくばってもがく姿も印象的で、また終始朗読とポールダンスの動きが表裏一体となっており、世界観が鮮明に作られ息を呑むような演出でした。

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黒鬼の水野さんが登場し、また宴車さんにボディペイントと始めます。話は人間だった頃の記憶と感情を失った地獄にいる鬼の話になりました。カンダタが蜘蛛の糸に縋る一部始終を目の当たりにした時に、自分がカンダタの手下であったことを思い出します。地獄の果てでもお供すると言い、とてもカンダタを慕っておりました。その手下が死ぬ前にカンダタにカンダタをお守りし救ってくれる龍を授けると言い息を引き取ります。そしてカンダタの背中には大きな龍が描かれておりました。水野さんはずっとカンダタを慕う手下の鬼の役をされていたのです。そして龍となった宴車さんの舞い踊るような美しく伸びやかなポールダンスが披露されました。

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初めてのコラボとは思えない全員の息のあった演出で、会場が一気に蜘蛛の糸の世界観に入り込みました。これもお三方の演技力や表現力、創造力などが作り上げた賜物だと思いました。また宴踊画(えんようが)とういう身体に絵画を描き、それが息吹を得て踊るというパフォーマンスをされているのは宴車さんが世界で一人だけだそうです。美しくも全身を使ったかなりハードな動きをされるポールダンスにも圧倒されましたが、そこに演技力や表現力も加わってよりポールダンスの魅力を目の当たりにできました。会場が妖艶な雰囲気に包まれ、最後は感動的に終わり、あっという間の1時間でした。

※写真は、使用の許可を得たものを使用させていただいております。