1.エルガー作曲 愛の挨拶
一曲目は非常に美しく様々な楽器編成で演奏される有名な「愛の挨拶」を演奏されました。チェロの優しくも芯のある音色で、愛を込めて歌っているような演奏は会場を一気にあたたかな雰囲気に包み込みました。
2.メンデルスゾーン作曲 無言歌
チェロとピアノのための作品、メンデルスゾーン作曲「無言歌」を演奏されました。ゆったりと大きくフレーズをとり柔らかに流れ、中間部では少し悲壮感漂いながらのピアノもチェロも激しく動く場面が印象的でした。低音もすごく重く響いており聴き入りました。後半はまた柔らかい音楽に戻り、1曲でいろんな表情が伺えました。
3.カサド作曲 無伴奏組曲より 第一楽章
無伴奏のチェロのみの演奏でした。核心をついたようにハッとさせられるようなパッセージや技巧的な部分、また熱がこもった厚みのある表現が非常に良かったです。幅広く音域が使ってある曲で、普段チェロではあまり聴けないようなとても高い高音も聴けて新鮮でした。
4.ブラームス作曲 チェロソナタ第2番より 第一楽章、終楽章(第四楽章)
第一楽章はピアノも華やかで、チェロの低い音のメロディが心に響きました。暗い音があったり、短調でありながらも飛翔していくような盛り上がりがあり、輝かしさを感じました。終楽章は細やかで優しく軽やかな動きと規律を重んじたような厳格な場面のコントラストが美しかったです。ピアノの見せ場も素晴らしく、またチェロの心を掴み取るよう
な切ないメロディも印象的でした。ラストはピアノとチェロが一気に駆け抜けていき爽快でした。
5.ピアソラ作曲 リベルタンゴ オブリビオン
ピアソラで一番有名で様々な編成で演奏される「リベルタンゴ」は、序盤は冷静で地底でひっそり歌っているようでした。中盤は広く美しく伸びやかで、ピアノと混ざり合い最後はクールにかっこよく締っていました。「オブリビオン」は忘却という意味で、リベルタンゴとは雰囲気はガラッと変わり、ゆったりと音楽が進みました。低い音やピッツィカートがとても心地よく、叙情的で物悲しくもロマンティックでした。
6.カサド作曲 愛の言葉
最後に演奏された「愛の言葉」はカサドの師匠に対して贈られた曲だそうです。心の底から溢れ出るようなさまざまなメロディーや音色、パッセージに沢山愛がのせられているようでした。とても情熱的で、一言では表現しきれない愛の言葉が音楽を通して伝わったような気がします。
アンコールは荒城の月とサンサーンスの白鳥を演奏されました。
<感想>
繊細さはもちろん、歌うことを重視されているようなプログラムだったかと思います。高音から低音まで幅広いチェロの音が聴けました。また、様々な歌い方や表現、切ない音や華やかな音、愛さえも表現され心にじーんとくるようなチェロの音色と魅力がたっぷりと伝わる演奏会だったと思います。
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