音楽

【音楽・詳細】チェリストゆっきーの室内楽マニア2024 Vol.2 デュオ・フルサワreunited チェ リスト中川幸尚!(2024.5.25)~ Cellist Yukki’s Chamber Music Mania vol.2 report ~

江津山
江津山
レンタルスペース&サロンDOLCEで開催されたデュオ・フルサワreunited チェリスト中川幸尚コンサートに行ってきました。出演は、ピアノの南部歌歩子さん、クラリネットの古澤嗣佳子さん、チェロの中川幸尚さんです。

<第1部>

プログラム第一部は
Felix Mendelssohn /演奏会用小品第1番 作品113より
Ⅰ:Allegro con fuoco Ⅱ:Andante
J. S. Bach / 平均律クラヴィーア第1番 ハ長調 BWV870
Ludwig van Beethoven / ヴァイオリン協奏曲 作品61より「ロンド」を演奏されました。
1曲目メンデルスゾーン作曲演奏会用小品第1番 作品113よりⅠ:Allegro con fuoco
Ⅱ:Andante はクラリネット、バセットホルン、ピアノの曲だそうです。バセットホルンとは、クラリネット属の古楽器で、低い音が出る非常に珍しい楽器で現在専門のバセットホルン奏者はいないという話でした。今回はバセットホルンの代わりにチェロで演奏されました。それぞれの楽器の歌い方が印象的で、やまびこのように同じパッセージを繰り返したり、美しいハーモニーを作り出したりなどされておりました。美しくも深い印象をもつ楽曲でした。
2曲目バッハ作曲平均律クラヴィーア第1番 ハ長調 BWV870 はピアノソロで演奏されました。各声部ごとに旋律をもつ非常に難しいとされているバッハですが、この曲はコンクールや音楽大学の受験にも使われるそうで、初心にかえろうという南部さんの試みでこの曲を選ばれたそうです。技巧的にも難しそうでありながらも馴染みやすい旋律が多く、非常に素晴らしい演奏でした。
3曲目ベートーヴェン作曲ヴァイオリン協奏曲 作品61より第3楽章「ロンド」はクラリネットソロで演奏されました。こちらの曲はヴァイオリン協奏曲で、ベートーヴェンが作った曲にピアノとクラリネットの曲がないとおっしゃっていましたが、クラリネットでも全く違和感がありませんでした。明るく軽やかな場面や、短調で少し暗くなる場面など様々な場面があり、クラリネットの良さが引き立つ楽曲でした。特にオクターブ上がって高い音になる旋律はとても印象的でした。

<第2部>

プログラム第二部は
Robert Schumann / 幻想小曲集 作品73
Ⅰ:静かに、感情を込めて  Ⅱ:活発に、軽やかに  Ⅲ:急速に、燃えるように
Nino Rota / クラリネット、チェロとピアノのための三重奏曲
Ⅰ:Allegro  Ⅱ:Andante  Ⅲ:Allegrissimo
を演奏されました。
4曲目シューマン作曲幻想小曲集 作品73はクラリネットの為の楽曲ですが、チェロで演奏されることも多いそうで、今回チェロのソロで演奏されました。Ⅰは静かな中にも力強さや切なさを感じました。Ⅱはピアノもチェロも非常に美しく、Ⅲは副題のように激しいところと、伸びやかなところのコントラストがあり、ピアノもチェロも音の深さが増して行く印象が強かったです。
プログラム最後はニーノ・ロータ作曲クラリネット、チェロとピアノのための三重奏曲を演奏されました。ニーノ・ロータはイタリアのモーツァルトとも呼ばれたクラシックおよび映画音楽作曲家です。「ゴッドファーザー」の「愛のテーマ」や「太陽がいっぱい」「ロミオとジュリエット」など数々の名曲を作曲されています。今回のコンサートの編成にぴったりな隠れた名曲三重奏を演奏されました。それぞれの楽器の音色が活かされ、うまい具合にマッチしており、全楽章通して聞き応えのある楽曲でした。楽章ごとのキャラクターが全く違い、様々な表情が見れました。特に3楽章はコミカルさもあり、少し狂人的な部分もあり面白かったです。アンコールはエルガーの愛の挨拶を演奏されました。

<感想>

熟練のお三方が作る世界観がとても素晴らしく、あまり普段耳にすることの無い楽曲でもあっという間に時間が過ぎ、非常に充実したひとときを過ごせたと思います。

※ 写真は御提供いただいたものを使用しています。