音楽

【音楽・詳細】山﨑明サクソフォンリサイタルツアー2025に行ってきました。(2025.10.13)

江津山
江津山
2025年10月13日(月・祝)、熊本県立劇場コンサートホールにて開催された山﨑明サクソフォンリサイタルツアー2025に行ってきました。
龍田川
龍田川
熊本学園大学附属高等学校吹奏楽部の皆さんと、ハープの永田育代さんがゲスト出演されています。指揮は早川英一さんでした。

<第一部

distortion「歪」 Ⅰ Miyabi Ⅱ JYONGARA! /山﨑明
山﨑さんご自身作曲のサクソフォン独奏の無伴奏作品distortion「歪」を演奏されました。サクソフォンという楽器は元々金管楽器と木管楽器を組み合わせる目的で作られたそうです。その恩恵から現在の素晴らしいサクソフォンが生まれましたが、その反面どこか歪曲しある種の歪さを感じられ、そこが愛おしく魅力的だと山﨑さんは述べられました。作曲される際あらゆる矛盾や対象物を「歪」という一文字に集約させ、詰め込んだ曲がこちらの曲だそうです。
ⅠのMiyabiでは和の神聖さと少しの禍々しさ、そして静寂を活かした息使いが感じられました。曲中に篠笛や龍笛のような奏法や様々な和楽器を連想させました。和敬清寂な風雅と相反する妖美さも感じ、どちらも楽しめました。
Ⅱ のJYONGARA! はサックスで奏でる三味線を叩くような音はとても斬新で、Miyabiとは変わりメロディックで”動”を強く感じました。突きつけるように真っ直ぐ音がこちらまで飛んできて、規律性もありながら余裕を持って遊んで演奏されているようにも聴こえました。

ここからは熊本学園大学附属高等学校吹奏楽部の皆さんと共演されました。指揮は早川英一さんです。

サクソフォンと吹奏楽のための協奏曲「ヴィジョンズ」/B. アッペルモント
こちらの曲は「聴衆を夢のような世界に誘いたい。」という思いから作曲され、4つの楽章(不在、カプリス、ノクターン、帰還)で構成されております。今回が日本初演だそうです。

不在:メルヘンチックで不可思議な世界へ誘われました。サックスとブラスバンドの優美で少しスパイスがかかった音が掛け合わされ、魔法にかけられたようでした。

カプリス:コミカルでかっこよくも面白おかしい曲調でした。抜けた雰囲気かと思えば、グッと迫力満点の熱い音が押し寄せてきたりなど、次は何が来るのか目が離せなかったです。

ノクターン:滑らかで浮遊感たっぷりの優しいサックスのメロディーとブラスバンドのハーモニーが夢見心地でした。ロマンティックでもあり、熱く心を揺さぶるような盛り上がりもありました。

帰還:虎視眈々とゆっくり何かが近づいてくる雰囲気にサックスの華麗な連符は見ものでした。
その後とても豪華に何かに開放されたように一目散にブラス全体が曲の終わりへ突き上がっていき、爽快で圧巻でした。


<第二部

ヴィオラ(またはアルトサクソフォン)と吹奏楽のためのエレジー/T. ドス
こちらの曲もサクソフォン版は日本初演だそうです。幻想のような淡い雰囲気に、募らせた思いを歌にしたような訴える強さを感じました。粛々とゆっくり進んでいく音楽に、鮮やかで健やかなメロディーは心を打つものがありました。

モリコーネ・パラダイス(真島俊夫 編曲)/E. モリコーネ
「ベリンダ・メイ」ではおしゃれで軽快で開放的なサックスソロと、身を任せてノれるブラスバンドの伴奏が身軽で楽しんで聴けました。「ニューシネマ・パラダイス」はよく耳にする素敵なメロディーにうっとりしました。ブラスアレンジでは様々なハーモニーが綺麗な音で飛び交って重なり、より華やかなニューシネマ・パラダイスが聴けました。

ここで演奏に参加されているゲストのハープ奏者永田育代さんと山﨑さんのお二人で「白鳥」を演奏されました。一音一音の美しさが感じられ、普段聴けないハープの音色に感銘を受けました。ハープとサックスの世界に酔いしれました。ハープの楽器紹介もされ、足元のペダル操作の大変さも目の当たりにしました。

風笛/大島ミチル
こちらの曲はソプラノサックスで演奏されました。柔和でこちらの心まであたたかくなるような包み込むような伴奏に、ささやかでも意志のはっきりしたサックスの旋律が素敵でした。音の伸びが遠くまで響いていました。

September/E.W &Fire
ビックバンドの盛り上がる熱いサウンドに乗せて、サックスのソロはかっこよさと勇敢さが炸裂していました。各パートがそれぞれ目立ち、吹奏楽の楽しさがとても詰まっていました。

アンコールは吹奏楽曲では定番の「宝島」を明るく元気に活気強く演奏され、最後まで盛り上がりを見せてリサイタルが終演しました。

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