音楽

【音楽】フランス音楽の保守と革新@熊本市中央区本荘DOLCE〜チェリストゆっきーの室内楽マニア2023 Vol.5(2023.11.23)〜

リナ・大学生
リナ・大学生
大学生スタッフのリナです!
2023年11月23日、チェリストの中川幸尚さんとピアニスト小野田美緒さんによるコンサートが、熊本市中央区本荘のレンタルスペース&サロンDOLCEにて開催されました!
龍田川
龍田川
「フランス音楽の保守と革新」をテーマに、保守派のサン=サーンスと印象派の礎を築いたフォーレの楽曲を演奏されました。なお、プログラムは、記事の最後に掲載しています。

○ サン=サーンスとフォーレ

<中川幸尚さんの解説>
今回のテーマは「サン=サーンスとフォーレ フランス音楽の保守と革新」という題名にさせて頂いたんですけれども、簡単にいうとサン=サーンスは保守派の人、フォーレは革新派とまではいかないまでもフランス印象派の礎を築いた人です。今回は、同時期に生きながら全く別の道に進んだ2人の曲を演奏させて頂こうと思います。

サン=サーンスはフランスの伝統音楽を非常に重んじた人で、バッハやベートーヴェンをすごく尊敬したそうです。フォーレはサン=サーンスの10個歳下で、パリの音楽学校でサン=サーンスにピアノを習っています。それ以来サン=サーンスとフォーレは親交が非常に深く、サン=サーンスが亡くなるまでその親交は家族ぐるみで続いたそうです。

○ 前半は保守派のサン=サーンス

■チェロとピアノのためのソナタ第1番ハ短調 作品32 (1872)
Ⅰ. Allegro
Ⅱ. Andante tranquillo sostenuto
Ⅲ. Allegro moderato

■アレグロ・アパショナート 作品43 (1873初演)

<中川幸尚さんの解説>
まず前半はサン=サーンスの曲を2曲演奏させて頂きます。
1曲目は「チェロとピアノのためのソナタ第1番」、2曲目は「アレグロ・アパショナート」。アパショナートとは、情熱を持ってという意味です。

この2曲は初演が同じ年(1873年)で、2曲とも同じチェリストに捧げられた曲です。サン=サーンスの中でも特に重要なチェロのレパートリー2つが同じ年に同じチェリストに捧げられたのは面白いなと思います。

<リナの感想>
チェロとピアノのためのソナタ第1番ハ短調 作品32 (1872)第1楽章は、危機迫る程の力強さを感じ、第2楽章では、曲のベースに流れる軽やかなリズムと優雅なメロディーラインが絶妙です。第3楽章はピアノもチェロもラストへ向けて次第に勢いを増し、激動のクライマックスでした。
小野田美緒さんの体全体で表現するような演奏に圧倒され、中川幸尚さんの奏でる低音の伸びやかな響きは、曲全体を支え心地良さを感じさせます。

アレグロ・アパショナートは、疾走感ある中でも息ぴったりに華麗に弾きあげるお二人の演奏に息を呑みます。ピアノパートで難しくテクニカルな演奏が求められていることが窺え、サン=サーンスがピアノの名手であったことを思わせます。

○ 後半は印象派の礎を築いたフォーレ

■夢のあとに 作品7-1 (1870-1877)

<中川幸尚さんの解説>
フォーレからの流れで印象派のドビュッシーやラヴェルの方向に行ったと私は思っているんですけれども、今日はそんなフォーレの曲から2曲演奏致します。
1曲目は、非常に有名な「夢のあとに」。この曲は3曲の歌曲集の中の第1曲として作曲されているんですけれども、作曲年代はよく分かっていないんですね。

<小野田美緒さんの解説>
「夢のあとに」の歌詞には色々と説があります。一番有名なのは、夢の中で会った女性にもう一度会いたい、夢の中に帰りたいという気持ちを歌詞にした男性の曲だそうです。

<リナの感想>
夢から覚めてしまった後の喪失感を感じさせるような哀愁漂う曲でした。
小野田さんの繊細な演奏と中川さんの奥深い響きで、美しく儚い雰囲気を創り出していました。

■チェロとピアノのためのソナタ第2番ト短調 作品117 (1921)

Ⅰ. Allegro
Ⅱ. Andante
Ⅲ. Allegro vivo

<中川幸尚さんの解説>
フォーレは先ほどのサン=サーンスと同じでチェロソナタを2曲書いています。この2番はフォーレの最晩年の曲で、かなり印象派の流れを予感させるような曲です。
この曲は特に第2楽章が有名でして、元々ナポレオンへの葬送歌としてフランス政府からの委嘱によって作曲したものを、後にチェロソナタ第2番の第2楽章に引用した名曲中の名曲です。

<リナの感想>
特に有名だという第2楽章は、葬送歌に相応しい、とても穏やかで安らぎを感じさせる曲でした。
アンコールは、サン=サーンスの「白鳥」。小野田さんの優しいピアノタッチと中川さんの優雅なメロディーラインで魅了しコンサートを締めくくりました。

<プログラム>
C.Saunt-saens(1835-1921)
■チェロとピアノのためのソナタ第1番ハ短調 作品32 (1872)
Ⅰ. Allegro
Ⅱ. Andante tranquillo sostenuto
Ⅲ. Allegro moderato
■アレグロ・アパショナート 作品43 (1873初演)

G.Fauré(1845-1924)
■夢のあとに 作品7-1 (1870-1877)
■チェロとピアノのためのソナタ第2番ト短調 作品117 (1921)

―ーアンコールーー
サン=サーンス:白鳥「動物の謝肉祭」より。

<場所>
会場:レンタルスペース&サロン DOLCE
住所:熊本市中央区本荘6丁目12-31

※ 写真の掲載は、承諾を得て行っています。