<前半>
W.A.Mozart / ピアノ四重奏曲第1番ト短調KV478
この楽曲はウィーンの音楽出版社からモーツァルトに依頼され作曲されたそうですが、アマチュアでも演奏できる楽曲を出版社は依頼したつもりが、難解な曲だったため、出版できず契約もモーツァルト自ら解除された曲だそうです。
Ⅰ:Allegro
決然としたパッセージから、同じ音形でも柔和な雰囲気に変化していきました。なだらかな弦の流れと、ピアノの颯爽としたコロコロとした動きの掛け合いも印象的でした。非常にアンサンブルのバランスが取れていて、1つのテーマに沿って展開していく様子が美しかったです。それぞれの楽器がいろんな動きを見せていて雰囲気も大人っぽく、難解と言われたのが何となくわかりました。
Ⅱ:Andante
安らぐようなピアノから始まり弦の皆さんのうっとりするようなハーモニーに魅了されました。
あたたかい音色のピアノだけのシーンから、ふわっと弦の音が広がる瞬間がとても心地よかったです。間や空間、音のゆらぎも大切にされているようでした。
Ⅲ:Rond;Allegro moderato
2楽章とは雰囲気を変えて、馴染みやすく華やかで聴いている人みんなが好感を持つようなパッセージが印象的でした。活発さもありながら愛と豊かさも感じました。一見悲しそうなハーモニーやメロディーが出てきても、どこか前向きに捉えられる素敵な曲でした。ガラッと転調した最後は一番活力的でした。
<後半>
J.Brahms / ピアノ四重奏曲第3番ハ短調作品60
この楽曲は出版に先立ち、ブラームスは出版社に「楽譜の表紙には、頭にピストルを向けている男を描くといいでしょう」と述べているそうです。初稿が書かれた時期シューマンの自殺未遂から死の時期と重なっていること、ブラームとシューマンの奥さんクララ・シューマンとの関係などが関連づけられ「ウェルテル四重奏曲」と呼ばれたそうです。
Ⅰ:Allegro non troppo
ピストルの音を表現されているピアノの和音から始まり、地底を疼くような物悲しい雰囲気に包まれました。衝撃的な場面展開から流れはなだらかで美しくなり、その中でも激動するような瞬間瞬間が垣間見えました。1曲目から非常に濃厚でお客さんも聴き入っていました。
Ⅱ:Scherzo;Allegro
テンポも上がり少しミステリアスな雰囲気になり、何かが待ち受けているような感覚でした。
切迫した速い流れに様々な訴えや叫びが聞こえてくるようでした。弦楽器3人の皆さんが同じメロディを熱く演奏する姿は圧巻でした。
Ⅲ:Andante
チェロのソロが切なく美しく歌い、ヴァイオリンの意志の強さと安心感を持つソロが加わり、ともしびを照らしてくれるようなヴィオラが加わりました。そこから各々が主張しつつも1つのあたたかい音の渦ができるようにアンサンブルが非常に良かったです。
Ⅳ:Finale;Allegro comodo
ベートーヴェンの「運命」をモチーフとして作られたそうです。その運命に乗っかり、切り詰めた熱いパッセージや静かな蠢きのコントラストが素晴らしかったです。謎っぽくなったり、厳格になったり、神々しく感じたりなど一つのモチーフから様々な表情や感情が伺えました。
<感想>
<江津山の感想>
「生と死と」というタイトルのようにチラシなども少しショッキングなデザインにされておりましたが、モーツァルトの楽曲の活力的な「生」とブラームスの曲の解説の通り「死」をテーマにされており非常に感慨深かったです。お客さんも聴き入っており集中した空間で、楽曲の中でも様々な色を見せておりあっという間に時間が経ちました。

※撮影は許可をいただいております。