<前半>
ソナタニ長調 Adagio-Allegro-Siciliana(Largo)-Menuet / Vivaldi
バストロンボーンの中村さんと、ヴァイオリンの船津さんのお二人で演奏されました。ゆったりとしたパッセージや明るく前向きなテンポなど様々な局面がありました。優しいヴァイオリンのメロディーと、それを支えるあたたかいバストロンボーンのお二人の息がぴったりでした。
「おとぎの絵本」第1曲、第2曲 / Schumann
ヴィオラとピアノのために書かれた作品で、「おとぎの絵本」と題してありますが特定の絵本のことを指して作曲されたわけではないそうです。こちらの曲は船津さんはヴィオラに持ち替えて演奏されました。
第1曲:物悲しくもどこか心を引き寄せるメロディーで、ヴィオラの少し低く厚みのある音が曲の雰囲気を一層深みのあるものにしていました。ピアノも装飾音が目立ち美しかったです。
第2曲:強く凛としており規律がしっかりありながらも熱い思いを感じました。途中軽やかで華やかになった場面もとても素敵でした。
コンチェルティーノ/ Ewazen
バストロンボーンのソロでピアノ伴奏で演奏されました。小節ごとに調が変わる大変な曲だそうです。地鳴りのような低い音で何かが始まるような雰囲気から、ジャジーになりリズミックで歯切れよくかっこよかったです。美しいハーモニーと語りのようなメロディーから、猛々しく盛り上がりました。
「ニュー・シネマ・パラダイス」メドレー / Morricone
前半最後は3人で映画音楽で人気曲の「ニュー・シネマ・パラダイス」メドレーを演奏されました。うっとりするような美しいメロディーとハーモニーで、しみじみと音を噛み締め夢見心地の空間でした。
<後半>
ファゴットとチェロのためのソナタ 第1楽章 / Mozart
モーツァルトのファゴットとチェロのために作られた曲ですが、今回はヴィオラとバストロンボーンで演奏されました。優雅で大人っぽく、それぞれのパートの音をたしなめました。
スラブ舞曲 第1番 / Dvorak=Kreisler
ピアノとヴァイオリンで演奏されました。粛々とした空気に思いのこもった旋律が心に残りました。リズミックになってもどこかセンチメンタルな雰囲気で、誰も介入させないような美しさを感じました。
献呈 / Schumann=Liszt
ピアノソロで演奏されました。シューマンの恋人クララに結婚式の前に送ったラブソングで、元々ソプラノとピアノで作られた曲だそうです。まろやかな愛の音に包まれて一音目からうっとりしました。曲中にアヴェ・マリアも含まれており、聴いている人を浄化するような優しい気持ちになれる音楽と演奏でした。
アヴェ・マリア / Caccini(Vavilov)
3人で演奏されました。ヴァイオリンのとても高い高音が印象強く、その後の渋いバストロンボーンの低音のコントラストがよかったです。決して複雑ではないメロディーの中に聴く人によって様々な違う感情や思いが垣間見えました。
ハンガリー舞曲 第1番、第5番 / Brahms
第1番:演奏が始まった瞬間雰囲気が荘厳になり、低い音のどっしりとした支えにヴァイオリンの華麗な激しさが際立ちました。ゆったりしたパッセージでも、揺るぎない動きを感じました。
第5番:心を駆り立てるような有名なフレーズはこれぞハンガリー舞曲だという感じでした。強烈でも歓喜に満ちていました。テンポの揺らぎも余裕の安定感で、聴いている側も様々な変化を楽しめました。
アンコールは映画「スティング」のテーマ曲エンターテイナーを演奏されました。
<感想>
<江津山の感想>
一風変わった楽器編成でも奏でる音楽は聴いている皆さんに寄り添っており、様々な楽器の良さや曲の良さを感じました。今回はヴァイオリンからヴィオラに持ち替えられたりなどもあり、普段なかなか聴けないヴィオラのソロも聴けてよかったです。曲や曲調の解説なども丁寧にされており、より深く楽曲を味わえました。
※撮影は許可をいただいております。