
<感想>
1曲目は伊藤愛さんご自身作曲の「瑞風」を演奏されました。流れが穏やかで、優しくも凛としたメロディーと伴奏でした。親近感も持てる曲調で、フルートの伸びやかな音が涼しげに奏でられました。2曲目はピアノの小脇教子さん作曲の「StartLine」を演奏されました。軽やかで、キラキラコロコロ音が煌めくような楽曲でした。とても可愛らしい雰囲気で、お二人とも楽しそうに演奏され気分が明るくなりました。3曲目は少しミステリアスでしみじみと音を噛み締めるような「異邦人」。4曲目は軽やかでもアグレッシブで、おしゃれなお音楽が飛び交うチックコリアの「スペイン」を続けて演奏されました。
続いてはお二人それぞれソロで、フルート独奏はプチハール作曲の「For me」、ピアノは小脇さんご自身作曲の「ひだまり」を演奏されました。「For me」は屈託なく質のある音でしっとりと演奏された後、歯切れ良くリズミックにグルーヴ感たっぷりに変化しました。その後優美に高音を聴かせ、陶酔していくような空気感に包まれました。「ひだまり」はコロナ禍での悲しいニュースから何か自分ができることはないかと思いを馳されできた曲だと仰っておりました。優しく凪のようにあたたかく愛を持って触れてくれるような音楽でした。曇りなき音にとても癒されました。
続いて6曲目に小脇さん作曲の「Blue soar」、7曲目に伊藤さん作曲の「夢を舞うひと」を演奏されました。8曲目は「熊本民謡によるパラフレーズ」を演奏されました。熊本民謡の五木の子守唄やあんたがたどこさをアレンジされており、聴き馴染みがありながらも新鮮でした。五木の子守唄は深く深層へと沈んでいくような感慨深さがあり、あんたがたどこさはジャジーでおしゃれで遊びをきかせ、楽しくもかっこよく圧巻の演奏でした。
9曲目は小倉大志作曲の組曲「星を掴みに出かけた音楽家たち」より第4楽章「古の星」、第5楽章「星降る丘」を演奏されました。「古の星」は単音1音1音を大切に響かせ、粛々とした空気にひっそりと意志強い演奏で、短い時間でも印象に残りました。「星降る丘」は少し民族っぽい雰囲気を醸し、鮮やかに素敵なメロディーが駆け巡り表情豊かに演奏されていました。心を掴まれるような綺麗で少し切ない曲でした。最後は夏川りみの「涙そうそう」を演奏されました。フルートにぴったりの曲で、歌の力強さと儚さが伝わり心強く優しい気持ちになりました。
アンコールは「見上げてごらん夜の星を」を演奏されました。
お二人の優しく朗らかなお人柄が溢れる演奏で、終始和やかであたたかいコンサートでした。ご自身が作曲された曲は癒されるような曲が殆どで、作曲された経緯や想いなども説明され、より深く楽曲の良さが味わえました。
写真の撮影は承諾済

