音楽

【音楽・コラム】2023.10.13 人を笑顔にするトランぺッター田尻大喜と高校生の夢の共演

(写真は禁転載。出展は末尾に記載)

今月13日、熊本県立劇場コンサートホールにて、「人を笑顔にするトランぺッター」田尻大喜(たじり たいき)さんと地元の高校生が共演したコンサートが開催された。

出演したのは、田尻大喜さんに加え、熊本出身のピアニスト 菅野大地さん、そして熊本県立第二高等学校吹奏楽部の皆さん。

第一部は田尻さんと菅野さんによるステージ。第二部は田尻さんと高校生による夢の共演ステージだった。

〇第一部

一曲目の冒頭は菅野さんのピアノソロから始まった。そしてよきところでトランぺッター田尻さんが登場し、豪華なデュオステージが幕を開けた。上品さと、それでいて大胆なところもあり、心をくすぐられる演奏だった。後々MCで明らかになったのだが、1曲目の冒頭で、菅野さんのソロのなか、どこで田尻さんが出るのかをお互い探りながら演奏していたのだそう(笑)プロの遊び心も垣間見ることができておもしろかった。

第一部では、田尻さんのオリジナル曲「希望の空」や「Life」、「ソラシドレインボー」などを演奏した。

プログラムにはなかったが、即興演奏も披露した。客席から挙手制で3人を募り、ひとりひとつ好きな音を答えた。3人に選ばれたのは「ラ・レ・ソ」。この3つの音を使ったコードで演奏した。曲名は客席から追加で1人選ばれた男子高校生がその場で決めて、「あのこと香った金木犀」となった。会場が盛り上がったあと、演奏は圧巻であった。即興なのでもちろん打ち合わせなどはなかったが、素晴らしい曲に仕上がり、「これがプロか」と感動の拍手が鳴り響いた。

〇第二部

「音楽を通じた人づくり」をモットーに日々練習に励んでいる第二高校の吹奏楽部。第二部は最初に、アレンジした「春が来た」など2曲を第二高校吹奏楽部が演奏。3曲目から、コンサート名にも掲げている「夢の共演」のステージとなった。田尻さんは高校生徒との練習について「生徒たちがスポンジのように吸収してくれて楽しかった。毎回の演奏に発見があった」と話していた。また生徒も「練習が楽しかった」と話し、「いちばん楽しんでいた人は誰ですか」という質問に対し「田尻さん」と答え、会場は笑いに包まれた。

コラボで披露した、田尻さん作曲の「Into the blue」は、さわやかで学生時代の青春を思い出すような疾走感あふれる曲であった。田尻さんが生徒たちの前に立って演奏するようなかたちだったが、田尻さんが生徒たちに「背中で夢を見せている」ようだった。

同じく田尻さん作曲の「Yell ~君と明日へと~」には、まっすぐで明るい歌詞がついていた。途中で生徒のソロの部分があり、それを見守る田尻さんが印象的だった。生徒たちに「もっと表現していいんだ」と、高校生の音楽を前に前に押し出して流しているような感じだった。そのほかにも「未来へのキャンバス」や「JUST ONE WORLD」など、それぞれ田尻さんの思いがこもった曲を生徒と一緒に奏でた。

今回のコンサートにあたり、田尻さんと生徒で目標にしたことがあった。それは、「学生もプロも関係ない。お客様に何か感じてもらう演奏をする」というものだった。ステージに上った全員がエンターテイナーであった。高校生にとってこのような機会は貴重であっただろう。このコンサートが第二高校吹奏楽部の生徒にとって、未来を描く希望になったと想像する。

※ このHPに使われている写真は、田尻大喜さんがFBにアップされたものを承諾を得て使用させていただいており、転載を禁じます(画像の比率は16対9になっております)。