<コンサート>
『キャンディード』序曲 /作曲:レナード・バーンスタイン 編曲:松岡優明
華やかに明るい音色で始まり、軽快さと美しさを兼ね備え、歌われる部分は優雅に夢見心地でした。俊敏に、時に大胆に表現され、曲中に様々な表情が見受けられました。オーケストラや吹奏楽曲で有名なこちらの曲ですが、マリンバアレンジはとても斬新でかっこよかったです。
オープニングの後は出田りあさんの幼少期からの今に至るまでの映像や、「ループくまもとミュージックフェス」の開催への想いや趣旨をお話しされました。
クープランの墓より『リゴードン』 /作曲:モーリス・ラヴェル 編曲:出田りあ
アグレッシブであり、また繊細でもあり、コロコロと動くマリンバの音がキラキラと天から降り注ぐようでした。哀愁漂う雰囲気の場面は、ピアノとマリンバの粛々とした音色がマッチし会場に切なくもあたたかな空気をもたらしました。
シュガーリア 第2楽章 /作曲:エリック・サミュ 編曲:出田りあ
マリンバのオリジナル曲で、作曲家・マリンバ奏者であるエリック・サミュが出田りあさんの為に作られた楽曲だそうです。心引き込まれるようなあたたかく木漏れ日のようなマリンバソロから始まり、ピアノが優しく入り、いつまでも安らぎを与えてくれるような時間でした。可愛らしくも少しトリッキーな雰囲気を持ち合わせとても印象的な楽曲でした。1つ1つのタッチがマリンバのぬくもりの音を一層際立たせていました。
ニューシネマ パラダイス /作曲:エンニオ・モリコーネ 編曲:出田りあ
優しく光がさすように心の奥底まで寄り添ってくれるようなピアノとマリンバの音色にひたっていれました。少し物悲しくも愛のあるメロディーがより一層マリンバの音でじんわりと心に響きました。様々な楽器でも演奏される有名な映画音楽ですが、マリンバアレンジはとても感動的でした。
映画『千と千尋の神隠し』より『あの夏へ』 /作曲:久石譲 編曲:出田りあ
前半はピアノがメロディーでマリンバがハーモニーを演奏され、映画の雰囲気そのもののようでした。すっと包み込むマリンバのハーモニーが上からも舞い降り、地面の底からも支えてくれるようでした。後半はマリンバがメロディーで、一音一音をとても大切に弾かれ、かけがえのない宝物のように感じました。
あんたがたどこさ /わらべうた 編曲:出田りあ
熊本の童謡、手毬唄で有名なこちらの曲は今回初演だそうです。カチッとした音で愉快な雰囲気から叙情的なピアノに続き、荘厳なアレンジに変わったと思えば目まぐるしくおしゃれに連符の速弾きが炸裂し、非常に聴きごたえがありました。
ふるさと /作曲:岡野貞一 編曲:出田りあ
高音と低音を大事にされたオクターブの旋律から、心にじーんとくるような和音での旋律ののち、音の幅がどんどん広がっていきました。聴いている誰もがどこか懐かしく物思いにふけるような素敵なアレンジでした。
キツツキ /作曲:アルド・ロペス=ガヴィラン 編曲:出田りあ
明るく楽しい雰囲気で同じテーマを違うリズムやアレンジで展開されていきました。その後深く伸びやかな間奏から、マリンバの確実で誠実なキツツキが木を突くような連打音に合わせてピアノのセッションのようなかっこいいフレーズが続きました。そしていつの間にかマリンバが激しく先導するような旋律に変わりました。沢山の動きの中に輝く旋律が浮かび上がり、聴いていてこちらも心が動かされました。
アンコールは「あんたがたとこさ」を演奏されました。
<感想>
出田さんの熊本愛と、熊本の文化を残すこと新しく作っていくこと、人と文化が繋がって輪を広げ明るい未来を築き上げたいという試みから企画された「ループくまもとミュージックフェス」への想いがとても伝わるコンサートでした。素晴らしい企画とマリンバの奥ゆかしさを感じる素敵な出田さんの演奏で、私も来年のフェスがとても楽しみになりました。

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