文化

【文化】「小さな秘密の朗読会」江戸川乱歩の怪奇小説「人間椅子」の朗読会に行ってきました!(2024.12.13) ~ 朗読:政木ゆか・ピアノ:志娥慶香 ~

江津山
江津山
レンタルスペース&サロンDOLCEで行われた「小さな秘密の朗読会」江戸川乱歩の怪奇小説「人間椅子」の朗読会に行ってきました。
龍田川
龍田川
朗読は政木ゆかさん、ピアノは志娥慶香さんです。
江津山
江津山
江戸川乱歩のエログロナンセンスの世界を堪能できる短編小説「人間椅子」を題材に朗読とピアノ演奏で臨場感溢れる世界観を作り上げられました。
龍田川
龍田川
朗読というと、椅子に座ってじっとして読むというイメージもありますが、政木ゆかさんは、ヘッドセットマイクを装着し、縦横無尽に動きながらの朗読でした。
(江津山のレポート)
美しくも物悲しく空気を重くするピアノ演奏からの幕開けで、朗読が始まりました。作家の佳子のもとに届いた椅子職人を名乗る『私』からの奇妙な手紙を読み上げる様子から物語が始まります。

人間の歪んだ愛と通常の感覚では理解し難い倫理観に逸れた発想に、佳子と一緒に戸惑いながらも『私』としての心情も慮れる二面性もとても楽しめました。ラストの真相が明かされる時は本当にその場にあった椅子が「人間椅子」であるかのように気味悪さを感じ、衝撃的でした。二通目の手紙によりとりあえずは安堵できるかのような内容でしたが、本当にそうだろうか?あの生々しさと妙に信憑性がある内容、陶酔的な感情を全て嘘だと言っていいのだろうかという心残りを残影にピアノの志娥さんのオリジナル曲「人間椅子のテーマ」で幕を閉じました。

政木ゆかさんの繊細で丁寧な表現は物語の情景や風景を鮮明に思い浮かべることができました。演技もされており素晴らしかったです、完全なる演劇ではなくあくまで朗読で聞き手に想像を任せる様子も楽しめました。

朗読会の後は、志娥慶香さんによるピアノ演奏でした。
志娥さんのオリジナル曲「木漏れ日」など2曲を演奏されました。「木漏れ日」については、ご本人曰く、木漏れ日の影の部分、現実逃避の曲だそうです。一瞬だけ最初に悲しげなパッセージから始まり、穏やかな柔らかい光が差し込むような曲調で進みました。美しくも哀愁に満ちており、高音のメロディーが印象的でした。後半は音の厚みが幅広くなり、曲の中で様々な思いが舞い振ってくるようでした。
アンコールは映画骨なし灯籠より「灯籠師」を演奏されました。

【江津山の感想】
朗読会とピアノ演奏はなかなか伺う機会が少ないのではないかと思いますが、演劇やミュージカルとはまた違った臨場感と世界観が味わえました。今回の題材「人間椅子」はとても奇妙で日常の恐怖を味わう作品でしたが、政木さんの朗読で空間を作っていく素晴らしさと同時に、聞き手自らの想像力により恐怖が駆り立てられていくところにも面白さを感じました。
ぜひ皆様も足を運んでみられてはいかがでしょうか。

※ 写真掲載は承諾をいただいております。