音楽

【音楽・詳細】ピアノ三重奏曲のちょっと隠れた名曲Ⅱ 〜 じゃない方の名曲集めました 〜 に行ってきました!(2025.8.30)

江津山
江津山
レンタルスペース&サロンDOLCEで開催された~チェリストゆっきーの室内楽マニア2025 Vol.4~ピアノ三重奏曲のちょっと隠れた名曲Ⅱ~じゃない方を名曲を集めました~ に行ってきました。
龍田川
龍田川
出演はピアノ志賀総学さん、ヴァイオリン柴田恵奈さん、チェロ中川幸尚さんです。

<前半

前半はクララ・シューマン作曲のピアノ三重奏曲 ト短調 作品17を演奏されました。クララ・シューマンは世に多く知られている有名作曲家ロベルト・シューマンの妻であり、ピアニスト、作曲家でもあったそうです。今回ロベルト・シューマン “じゃない方のシューマン”として数少ないクララの作品からピアノ三重奏曲 ト短調 作品17を演奏されました。

Ⅰ:Allegro moderato
幻影のようにブワッと艶やかな雰囲気から始まりました。チェロとヴァイオリンの切なく儚げなメロディーが印象的でした。旋律ははっきりしていますが非常になだらかで常にレガートを意識されているように感じました。ヴァイオリンの高音とチェロの低音がしっかり別れたパッセージの時は、ぐっと息を飲むものがありました。

Ⅱ:Scherzo; Tempo di menuetto
軽やかで優美でヴァイオリンのメロディーの跳ね方が特徴的で、チェロのメロディーは優しくも勇敢でした。軽やかなステップのような場面と、伸びやかに旋律の響きの余韻が美しい場面がうまく曲中に組み合わさっていてとても素敵でした。

Ⅲ:Andante
ピアノのロマンティックでのどかな風のような前奏から、さりげなくも意思強いヴァイオリンとチェロのメロディーに夢見心地でした。はっきりと厳格な場面の後にまた優しく包むハーモニーで曲が終わりとても美しかったです。

Ⅳ:Allegretto
終始優美でありながら、少し考えるような何か心の奥に秘めた思いを明白でなくとも訴え続けるメロディーと曲の雰囲気に魅了されました。それぞれ奏者3名が尊重し合って曲作りがなされており、非常に曲の世界観が伝わりました。


<後半

後半はフェリックス・メンデルスゾーン作曲のピアノ三重奏曲 第2番 ハ短調 作品66を演奏されました。第2番より第1番が有名であり、よく演奏されるそうです。今回第1番よりはあまり知られていないあえて“じゃない方”の第2番を演奏されました。

Ⅰ:Allegro energico con fuoco
美しくもメラメラと炎が漂うように執念さえも感じる曲調でした。ピアノの細やかな動きと弦の幅広いゆったりと厳かなパッセージに惹きつけられました。途中アグレッシブな動きは烈火のごとく熱を帯びていました。

Ⅱ:Andante espressivo
Ⅰ楽章とは打って変わってまろやかで憂いを帯びたハーモニーがとても綺麗でした。少し不穏な空気を纏いながらも一節一節が感情的で、希望も悲しみも全て受け入れたような様々な感情が一緒くたに表現された美しさを感じました。

Ⅲ:Scherzo; Molto allegro quasi presto
素早く悲壮的なメロディーが風のように過ぎ去っていきました。全体的にとても速い流れではありながらもとても聡明さを感じました。非常に集中力を必要とする曲で、見事な演奏でした。

Ⅳ:Finale; Allegro appassionato
魅惑的なメロディーで、艶美な世界に引き込まれました。強くたくましくも叙情的な場面や、ひっそりと心を込めて歌う場面などありました。お互いの音が曲の荘厳さを引き立て合い、盛り上がりは音が上がっていくにつれこちらの心も高揚し圧巻でとても感銘を受けました。

アンコールはロベルト・シューマンの「トロイメライ」を演奏されました。


撮影は許可をいただいております。